【婚姻費用|妻・子ども2人で月13万】相場・算定表を離婚経験者が徹底解説
僕は相手弁護士から婚姻費用を請求されて、はじめて婚姻費用という存在を知りました。
みなさんは婚姻費用を「何のために・誰が・いくら・いつまで」払うかご存知ですか?
- 払う側からしたら「こんなに払うの!?」
- もらう側からしたら「こんなに貰えるの!?」
という金額になっているのが婚姻費用です。そんな婚姻費用について詳しくお話ししたいと思います。
婚姻費用は夫婦の義務
「お袋・給料袋・堪忍袋」結婚式のスピーチなんかありがちな3つの袋は有名ですが、結婚生活3つの義務を知らない方は多いと思います。
この結婚生活の義務は民法752条に「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない」と明示されています。
- 同居義務
- 協力義務
- 扶助義務
夫婦は協力して助け合いながら一緒に暮らす。こんな義務があります。
3つの義務といっても、平穏な結婚生活を送っている人にはごく普通の結婚生活ですよね。
婚姻費用|夫婦が同じ生活レベルとなる費用
結婚生活全体にかかる費用が婚姻費用となり、具体的には次のような費用があります。
- 衣食住
- 医療費
- 娯楽費
- 教育費
夫婦は互いに扶助(相互扶助)する義務があるため、婚姻費用を分担しなければなりません。
平穏な結婚生活を送っているときは夫婦で年収や資産に差があっても、夫婦共有のお財布としてやりくりしていることが多いと思います。
仮に夫婦でそれぞれお財布を分けていて、どちらか一方だけが生活費を払っている状況だとしても、平穏な結婚生活が送れていればとくに問題になることはありませんよね。
年収の高い方が食事におかずが付いて、年収の低い方はおかず無し、こんな夫婦はいませんよね。
年収に差があっても同じ生活レベルを送るのが普通の家庭です。
婚姻費用を意識するのは事実上婚姻関係が破綻したときです。
離婚に向けた話し合いをしているとしてもお互いに生活を保持する義務があるので、婚姻関係の期間は収入の多い方が少ない方に金銭を支払うことになります。
別居で婚姻費用が明快になる
別居したとしても離婚届けを提出するまで夫婦関係は継続中です。
自分から家を飛び出すパターンもあれば、パートナーが家を飛び出すパターンもありますね。
同じ生活レベルを実現するには収入の多い方が収入の少ない方にお金を渡すことになります。
婚姻費用はいくら払うのか、気になるところですよね。
僕のケースでご紹介します。
筆者のケース|専業主婦・子2人で婚姻費用は手取年収の35%
元妻は子どもを連れて何年も実家暮らしを送っていて、その生活耐えられなくなった僕は離婚を決意しました。
離婚を切り出した2週間後、相手の弁護士事務所から婚姻費用毎月13万円所定の口座に振り込めよといった脅迫まがいの手紙が届きました。
いやいや13万円だなんてオーバーだなぁ。そんなことあるわけないっしょ〜。
給料の手取りの半分以上も持ってかれるなんて、吹っ掛けてきてるんじゃな〜い?
弁護士から吹っ掛けられた費用だと思った僕は、ネットで検索していくうちに、裁判所のサイトに掲載されている「婚姻費用算定表」という表に辿り着きました。
その表に僕のケースを当てはめてみると、婚姻費用はしっかり13万円と読み解くことができました。
僕の場合の婚姻費用
- 僕:年収550万円
- 元妻:専業主婦(年収0)
- 14歳以下の子ども2人
これで僕の婚姻費用は13万円です。
簡単に読み取れる表で、次の4つの基本情報だけで婚姻費用を算出することができます。
- 夫の年収
- 妻の年収
- 子どもの人数
- 子どもの年齢
これを基に婚姻費用が算出されます。
婚姻費用の支払いは離婚が成立するまで
婚姻費用は離婚が成立するまで支払い義務があります。離婚するまでは夫婦ですからね。
子どもがいれば離婚が成立した後は婚姻費用から養育費に切り替わります。
婚姻費用算定表と養育費算定表の見方は同じなので、婚姻費用算定表が読み取れると養育費も算出することができます。
養育費についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
婚姻費用は不平等|男性側が圧倒的不利
次に該当する人にとって婚姻費用は平等な分担ではなく、不平等なものと感じることになるはずです。
- 車を所有していて残債がある
- マイホームの残債がある
- 奨学金の支払いが残っている
男性名義の借金がある場合は、婚姻費用として支払った後に各種ローンの返済をすることになります。
何よりも優先されるのが婚姻費用の支払いです。
「手取収入ー婚姻費用=今月の生活費」
「学資ローン・車のローン」など、夫名義のローンは考慮されるのかと思ったら、全然そんなことありません。
婚姻費用が何より優先されるようなので、婚姻費用を払ってから手残りのお金でローン返済をすることになります。
私の場合、
- 手取28万円で婚姻費用13万円
- 残った金額は15万円
- そこから車のローン・奨学金の支払いで3万円
- 家賃に光熱費に医療保険に車の保険
全部の支払いをしたら大学生より金欠です。
その一方で!
元妻は長女が生まれてから実家暮らしです。実家暮らしだから家賃はかからないし光熱費もそんなにかからない。実家に生活費を渡すにしても、自分で家を借りる思いをしたら圧倒的にコスパ良く暮らしていけるのが実家です。
同等の生活レベルと婚姻費用の定義があるのにも関わらず、実家暮らしで専業主婦の元妻、働いて1人暮らしをしている私。
マイカーローンだってあります。家族みんなで乗るにはそれなりに広さが必要です。車は仕事でも使うとはいえ、家族のためにちょっと大きめな車にしているのですから、当然妻にも支払い義務があるはず。
なので私の頭の中ではこんなお金の流れになるイメージでした。
ですが現実は違いました。
マイカーローンがある男性のお金の流れは次の図です。
マイカーローンは婚姻費用を払った後に残ったお金で支払いしなければいけません。
支払い義務はローン名義の私にあるのです。
せめてローンの返済は折半してくれ、そう言っても認めてくれません。不公平じゃありませんか?
家を買ってからの離婚はさらに厄介です。
婚姻費用の支払いは何よりも優先されるものです。
夫名義の各種ローンは婚姻費用を払った後に返済しなければいけません。
家族のために買ったファミリーカーも100%自分が負担しなければいけません。
離婚って男が不利ですよね。これから離婚しようと思う男性はこちらの記事もチェックしてみて下さい。
婚姻費用の支払い時にローン返済がある人の生活は、かなり厳しい!
僕が実践した節約方法をご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
婚姻費用って何?|まとめ
私が離婚を決意したとき、婚姻費用って言葉すら知りませんでした。弁護士からの手紙で初めて聞いた婚姻費用。
皆さんは私よりも知識を持った状態で離婚できそうですね。
婚姻費用についておさらいです。
- 婚姻費用は夫婦が共同生活するための費用
- 婚姻費用は婚姻費用算定表に基づいて決まる
- 婚姻費用は離婚するまで支払い続ける
- 婚姻費用の支払いがローンよりも優先される
ぜひ参考にしていただければ幸いです。